新市長に小野達也氏 佐藤氏に2038票差―伊東

伊東版 2017年05月22日

花束を手に支援者に当選の喜びを伝える小野氏(左)=広野の事務所(21日午後10時32分撮影)
花束を手に支援者に当選の喜びを伝える小野氏(左)=広野の事務所(21日午後10時32分撮影)

 ■投票率53・92% 前回1・14ポイント下回る

 任期満了(28日)に伴う伊東市長選は21日、市内24投票所で投票が行われ、即日開票の結果、元県議で水産加工販売会社社長の小野達也氏(54)=宇佐美=が出版・情報会社社長の佐藤裕氏(56)=竹の内=を2038票差で破って初当選を果たした。期日前投票は好調だったが投票率は伸びず、53・92%で前回選(2013年)を1・14ポイント下回った。

 現職佃弘巳氏(70)の4選不出馬を受け、無所属新人の一騎打ちによる短期決戦となった。両氏の主張に大きな違いはみられないものの、本県が会場となる19年のJRグループ大型観光宣伝「デスティネーションキャンペーン」、伊豆市で自転車競技が開催される20年の「東京五輪・パラリンピック」も見据えた観光・経済の振興、人口減・少子高齢化が進む中での移住・定住促進、子育て支援、伊豆半島のリーダーとしての役割が担えるか−などが問われた。

 自民、公明の推薦を受けた小野氏は、県議3期の実績・経験、幅広い人脈に加え、ボトムアップによる市政運営、入湯税を観光施策目的税として従来の1泊2日から滞在型に観光に変えていく−などを訴え、地元の宇佐美や小室地区、市街地・周辺で支持を伸ばした。自民党市支部や後援会、推薦した団体などが当初から緩むことなくフル稼働し、市内全域で展開した組織力を生かしたきめ細かな運動が奏功した。

 佐藤氏は、大手旅行会社勤務の経験を生かし、年間宿泊客数の増加などの観光振興策や公正・公平・公明な市政運営などをアピール。八幡野地区で計画されている大規模太陽光発電施設への反対も強く打ち出して南部地域を中心に支持を広げたが、組織力の差を最後まで挽回できず、一歩及ばなかった。

 ■佐藤氏「市民として見守る」

 銀座元町の佐藤氏の選挙事務所では小野氏当選確実の一報がテレビから流れると、支援者から落胆の声が聞かれた。佐藤氏は「マニフェストへの共感はあったが、小野さんへの評価が高かった。市民として伊東を見守りたい」と肩を落とした。

 ■「夢と希望 形に」

 広野にある小野氏の選挙事務所では、支援者が事務所内に設置されたテレビで開票作業を見守った。

 午後10時15分に「当確」が流れると大きな歓声が湧き上がり、拍手で喜んだ。直後に事務所に到着した小野氏は目に涙を浮かべながら「感謝の気持ちでいっぱい」と礼を述べた。さらに「夢と希望を形にする。未来を開くため、先頭に立って進んでいく」と力を込めた。支援者から花束を受け、万歳三唱で喜びを分かち合った。

 ■市長選当選者の略歴

 小野 達也(おの・たつや)54 無新(1) 水産加工販売会社社長 元県議3期 元建設委員長・総務委員長 焼津水産高卒 宇佐美

 ■市議補選は大川、犬飼氏

 市長選と同時執行の市議補選(欠員2)は、観光関係者らの票を着実に取り込んだホテル役員大川勝弘氏(35)=自民推薦、湯川=と、佐藤氏と連動した運動が実ったかき氷販売業犬飼このり氏(45)=末広町=の新人2人が議席を獲得した。

 新人で電気工事等会社社長の稲葉浩治氏(51)=民進推薦、岡=、元職で衣類販売店経営の荻野聡氏(41)=富戸=は届かなかった。

 ■市議補選当選者の略歴

 大川 勝弘(おおかわ・かつひろ)35 無新(1) ホテル役員 伊東温泉旅館ホテル協同組合理事 湘南工科大卒 湯川

 犬飼 このり(いぬかい・このり)45 無新(1) かき氷販売業 伊東湯のまちバル実行委員 市食生活改善推進員 相洋高卒 末広町

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 ■解説 県議の実績 市政託す

 伊東市民は今後4年間の市政運営を、県議3期の実績・経験、幅広い人脈に培われた国・県とのパイプを持つ小野氏に託した。政策を実行するための財源を明らかにするなど、行政を熟知した点も評価された。

 小野氏は佃市政の良い点を継承しつつ、若い世代や移住者など届きにくかった声を吸い上げて市政に反映させる「ボトムアップによる市政運営」などを掲げる。入湯税を観光施策目的税として観光予算を増やし、従来の1泊2日型から滞在型へ変えてにぎわいの観光地づくりを進め、伊東駅周辺の整備にも積極的に取り組む。

 佐藤氏は観光振興への期待、強く打ち出した大規模太陽光発電施設への反対で支持を広げたものの、4年前に続いて届かなかった。

 市内の宿泊客数は増加しているものの、商店の売り上げに結び付かず、市街地は閉塞(へいそく)感が漂う。経済振興、子育て支援の充実なども含め、小野新市長が早急に取り組むべき課題は多い。

 ■期日前に1万310人 前回選2000人超上回る

 伊東市選挙管理委員会事務局のまとめによると、同市長選の期日前投票(15~20日)の合計は1万310人(男4371人、女5939人)だった。前回選(2013年)の8226人を2084人も上回った。

 【写説】花束を手に支援者に当選の喜びを伝える小野氏(左)=広野の事務所(21日午後10時32分撮影)

 【図表】伊東市長選開票結果

 【写説】伊東市議補選開票結果

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