伊東版 2018年06月18日

市民に迷惑と心配を掛け、深くおわびするとして記者会見で頭を下げる小野市長(中央)ら=市役所
市民に迷惑と心配を掛け、深くおわびするとして記者会見で頭を下げる小野市長(中央)ら=市役所

 ■小野市長「私の知らない一面も」「真相究明、捜査協力が責務」 

 前伊東市長の佃弘巳容疑者(71)が収賄容疑で逮捕されたことを受け、伊東市は17日、市役所で記者会見を開いた。小野達也市長はコメントを読み上げ「大変遺憾であり、市民に迷惑と心配を掛けていることを深くおわびする」と謝罪し「事件の真相究明、早期解決のため警察の捜査に全面的に協力し、市民の信頼が回復できるよう職員一丸となって取り組む」と述べた。

 小野市長によると、佃容疑者の逮捕を知ったのは16日午後8時すぎ。捜査関係者からの電話だった。逮捕された時の感想を問われ「容疑が固まったと感じた。捜査への協力、真相究明をしていくのが責務」と思ったという。佃容疑者については「同じ政党であり、親しく付き合っていた。政治家としての実績は素晴らしいと思っていた。だが、疑いを持たれ、容疑者となったことで私の知らない一面もあったのかなと感じている」と語った。

 跡地を購入した代金は税金であり、その中から佃容疑者に1千万円が払われたことで返還を求めるか、の問いには「指摘の通りであれば、司法の判断の結果を待って、返還も考えていく」との考えを示した。

 会見には小野市長、若山克、佐野博之両副市長、高橋雄幸教育長、中村一人企画部長、浜野義則総務部長が出席した。

 ■土地購入、佃容疑者から指示 「仲介料、全く知らなかった」 

 記者会見では、伊東マンダリン岡本ホテル跡地(桜木町)を購入した経緯についての質問もあり、若山副市長が説明した。

 若山副市長によると、市は2014年10月に同跡地が競売で民間の手に渡ったことを知った。購入については佃容疑者から指示があり、価格の2億1千万円も佃容疑者から提示があったことは事実、と述べた。15年4月ごろに佃容疑者から「あの土地はどうだ」という話があり、当時の副市長を通じて財政課に話があったのではないか、と説明した。

 跡地は当時の固定資産税評価で約1億9千万円、実勢価格は約2億7千万円。実勢価格の8割程度の2億1千万円での取引は適正と考えていたとし、購入に当たり実施した不動産鑑定評価でも2億1千万円強だったという。「最終的に佃容疑者が相手と交渉して2億500万円で契約したが、土地の購入としては適正だった」と述べた。

 「価格交渉は佃容疑者が行い、契約は事務方がしたと聞いている」とも語り、コンサルタント料(仲介料)が支払われていることについては「全く知らなかった。事実であるとすれば、あってはならないこと」と顔を曇らせた。

 ■「何が何でも再発防止」 複数課の仕組みづくり必要

 再発防止策などについても、記者会見で質問が出された。若山副市長は「広い土地を購入するに当たってはこれまでの財政課管財係だけでなく、土地の用途の担当課からも綿密に意見を聞くなどの仕組みをつくっていく必要がある」との考えを述べた。

 また、事件が起きたことについては「決定権を持っている人が決め、交渉もして、示された価格も当時としては適正だと考えた。仲介者の存在も知らなかった」。防ぐのは難しかったという。

 「佃市政の12年間を検証するか」の質問には「ここ十数年の市の土地購入は、全て適正に執行されてきたとの自負を持っている。検証することは今のところ考えていない」としながらも、「議会で決定されれば、積極的に協力していく」と語った。

 小野市長は今回の事件を「個人的に行政と関係のないところで動きがあった」とし「何が何でも再発は防止しなければならない。しっかり原因を究明し、改善すべき点があれば考えていきたい」との決意を示した。

 ■良くないうわさ/やっぱり… 市民から厳しい意見

 伊東市の前市長佃弘巳容疑者が収賄容疑で警視庁に逮捕されたことは、市民に大きな衝撃を与えた。逮捕から一夜明けた17日、市内で市民の声を集めた。

 伊豆急伊豆高原駅周辺では、厳しい意見が相次いだ。「パワフルでお金を集める力があった。以前から良くないうわさがあり、辞めた時点で何かあると感じていた」=運転手の男性(68)=、「びっくりしたがやっぱりという思いもある」=パートの女性(32)=、「政治家にはありがち。特に驚きはなかった」=運転手の男性(41)=などの声が聞かれた。

 無職の女性(85)は「1000万円は大金。市民として高い市民税を払っているので、市は捜査にしっかり協力してほしい」と求めた。

 中心市街地では、冷静に受け止める人が多かった。岡湯会館で開かれた親子ふれあいイベントに参加した主婦(43)は「単に市長というイメージしか持っていなかったので、そんなに悪い人だったんだと思った」と語った。

 バレーボール大会が開かれた市民体育センターでは、「情に厚く人気があったので残念。古い政治家のイメージが強いが、いろいろな事業を実現してくれた」=会社員の女性(48)=という意見がある一方、「リーダーシップはあったけれど、よくないうわさも聞いていたのでやっぱりとも感じた」=パートの女性(58)=との声も挙がった。

 佃容疑者の地元宇佐美地区では、驚きの声が多く聞かれた。無職の男性(84)は「悪いうわさを聞くこともなかったので、こんな事件を起こすとは思わなかった。事実であれば市民にしっかり説明して謝罪してほしい」と強い口調で語った。

 スーパーで買い物を済ませた無職の男性(62)は「リーダーシップが強い印象だった。私利私欲に走ったことは誠に遺憾」と憤った。JR宇佐美駅を利用した自営業の女性(40)は「地元に密着した昭和の政治家という印象がある。逮捕を機に市政も健全な方向に変わってほしい」と語った。

 地元宇佐美区の森一徳区長(77)は「信じられなかった。長い間、区のためにいろいろと頑張ってくれた。逮捕が間違いであってほしいと願いたい気持ちすらある」と残念そうに語った。

 【写説】佃容疑者の事務所から押収品を運び出す捜査員=伊東市広野

 【写説】家宅捜索で佃容疑者の自宅から押収品を運び出す捜査員=伊東市宇佐美

 【写説】市民に迷惑と心配を掛け、深くおわびするとして記者会見で頭を下げる小野市長(中央)ら=伊東市役所

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